盛り塩をやったのを忘れて、ようやく気付いたら――カビが生えていた!
これは、わりと多くある失敗例。
カビてしまった盛り塩は、そのまま放置すれば運を下げてしまう。
では、カビてしまった盛り塩は、どのように扱えばいいのだろう?
今回は、ライトノベル形式でカビてしまった盛り塩の扱い方をお伝えさせて頂く。
カビが生えた盛り塩
登場人物
- リーン:いつも酔っ払っている妖精
- オウカ:自尊心高めの神さま
- 莉愛梨:普通のOL
ここは異世界人が、当たり前のようにラーメンを駅前で啜っている地球。
湿った空気が纏わりつくような薄暗い一角で、リーンは手元のガラス瓶を掲げていた。妖精のリーダーたる者、この程度の怪異に怯えては威厳に関わる。そう自分に言い聞かせるように、彼女は肩を怒らせて胸を張る。
オウカが頭上から燦然と光を放ちながら、面白そうに目を細めた。太陽の加護を気取るその背後では、なぜか無駄に大げさな後光の演出がなされている。だが、その神々しいはずの空間の足元には、放置されて無残に黒ずんだ塩の塊が鎮座していた。
黒ずんだ塩の塊。――それは盛り塩だった。
カビた塩は「厄」の温床!?
リーンが勢いよく踏み出した拍子に、床に放置されていた塩の山を踏みつけ、盛大にバランスを崩す。カビが生えた白い粉末が周囲に舞い上がり、リーンの小さな鼻先を直撃した。
オウカは微塵も焦る様子もなく、むしろ他人の不幸を楽しむように両手を広げる。その足元では、高野莉愛梨が冷ややかな視線を向けていた。
莉愛梨は慌てて口を押さえ、真っ赤になりながら両手をブンブンと振って否定にかかる。誰もチョコの話などしていないのに、自爆気味に照れ隠しを始めるいつもの悪癖が発動していた。
莉愛梨が鼻息荒く叫ぶが、その耳は茹でタコのように真っ赤だ。彼女は床に散らばったカビ塩の残骸を、殺虫剤でも見るような目で見下ろしている。
放置は禁物!管理能力が試される時
リーンはへたり込んだまま、しょんぼりと羽を畳んだ。先ほどまでの妖精のリーダーとしての威厳はどこへやら、今はただの反省する少女である。
完璧な処置!カビ塩の正しい捨て方
オウカは胸を張り、眩い光(自称)を周囲に放ちながら、宙を指し示した。莉愛梨は腕を組み、冷ややかな視線を送りつつも、目の前の凄惨な状態をどうにかするために耳を傾けざるを得ない。
オウカの掲げた手順はこうだ。素手で触れないように慎重に、そして他のゴミと混ぜずに処理し、最後はピカピカに洗い清める。それはただの掃除を超えた、空間のエネルギーを再構築するための壮大な儀式にも思えた。
清らかな空間で、素敵なバレンタインを
リーンは気合を入れるため、空中で一回転して勢いよく着地しようとした。だが、そこに待ち受けていたのは、カビのせいで微妙にぬめりを帯びた床の罠である。着地の瞬間、リーンの小さな足元が見事に滑り、「うわっ、ツルッといったぁ!?」と悲鳴を上げて派手に尻もちをついた。
莉愛梨は呆れたようなため息をつきつつも、ハンカチを取り出してリーンの頭をポンポンと叩くように拭い始めた。その手つきは意外なほどに手際が良い。
部屋の隅に鎮座していたカビの塊は消え去り、かつてそこにあった皿も、まるで新品のように磨き上げられ、静かに窓辺の光を反射していた。リーンは窓を大きく開け放ち、溜まっていた淀んだ空気を一掃する。
莉愛梨は、精一杯の強がりを言いつつ、ふと自分自身の将来に想いを馳せる。清潔な部屋、美味しいチョコ、そして……。
自分の妄想の暴走に気づいた莉愛梨は、顔を真っ赤にして勢いよくその場を飛び出していった。
【忘備録】放置盛り塩の処置マニュアル
莉愛梨:「もったいないから復習よ!」として、放置したカビ塩を片付ける際の注意点や、二度とカビさせないための管理ポイントを再確認。
- 定期交換:盛り塩は「部屋の隅に放置したらカビた」という状態になりやすいため、交換スケジュールを決めておく。
- 衛生隔離:万が一カビが生えたら、素手で直接触れずに紙などで包み込んで衛生的に隔離する。
- 単体処分:他のゴミと混ぜて邪気が引き合わないよう、単体でしっかりと包んで手放すこと。
- 浄化リセット:塩を片付けたあとの皿は、粗塩や水できれいに洗い清めて負の残留エネルギーをリセットする。
- 空気の循環:こまめな換気と掃除をセットで行うことで、邪気の停滞を防ぐ。
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