牡蠣(かき)が旬の季節になると、個人的には日本酒なんかと一緒に食べたくなる。
この牡蠣は、生食用と加熱用とがある。
その違いは、獲れた海域、獲った後の処理方法、これらの違いから区別されている。
今回は、牡蠣の生食用と加熱用との違いについてお伝えする。
牡蠣の生食用と加熱用の違い
牡蠣には、生食用と加熱用とがある。
生食用と加熱用とに牡蠣を区別する最大の基準は、獲れた海域にある。
- 生食用
○各県が定めた指定海域で獲れる - 加熱用
○指定海域以外で獲れる
各県が定める指定海域の特徴
牡蠣を生食用と表記して良い各県が定める海域。
これは雑排水が流れ込む川の河口から離れた場所にある海域であることが多い。
なぜ、雑排水が流れ込む川の河口から離れた場所を指定海域として指定するのか?
それは牡蠣を生食するときに怖いのが、食中毒だから。
雑排水が流れ込む川の河口付近だと、食中毒の原因になる菌やノロウイルスに牡蠣が汚染されやすくなる。
だから安全面を考えて生食用の牡蠣と表記して良いのは、各県が定める指定海域で獲れた牡蠣に限定される。
指定海域以外の場所でも生食用と!
生食用の牡蠣というのは、大半が指定海域で獲れた物を指す。
でも獲ってから浄化をして、厚生労働省の生食用かきの規格基準に適合すれば、生食用として出荷が可能。
だから一概に、生食用の牡蠣が指定海域で獲れた物だとは言えない。
生食用牡蠣の浄化について
生食用の牡蠣は、獲った後に浄化という工程を経なければならない。
この浄化がどのような物なのかというと、言葉が指すように牡蠣をキレイにする工程。
牡蠣は20ℓの海水を1時間で吸収して排出している。
だから紫外線を照射するなどして無菌となった海水に牡蠣を3日ほど浸けておくことで、牡蠣が自分自身をキレイにしてくれる。
加熱用牡蠣と生食用牡蠣の違いは食べ応えにもでる
生食用牡蠣と加熱用牡蠣の違いとして、真っ先に挙げられるのが獲れた海域。
この獲れた海域の違いは、加熱用牡蠣の方が太っている上に味も濃いという違いを生む。
なぜなら加熱用牡蠣は、栄養の多い河口付近で獲ることが可能だから。
だから生では食べられないけど、火を通す料理に使うのであれば加熱用の方が美味しく仕上がる傾向にある。
牡蠣にあたる原因は?
牡蠣が美味しい時期になると、「牡蠣にあたった!」と病院に駆け込む人が増える。
この牡蠣があたる原因には2種類が存在する。
それは──。
- 食中毒
- 牡蠣アレルギー
牡蠣にあたると10年は牡蠣を食べられないと言われるけど、それは牡蠣アレルギーが原因だった場合を指すことが多い。
食中毒とアレルギーの区別
牡蠣を食べてあたる場合、食中毒とアレルギーとが考えられる。
食後1~2時間ならアレルギー、半日~2日後の場合は食中毒であると判断されることが多い。
牡蠣にあたる確率
牡蠣にあたる確率は、個人差がある。
あるアンケートによると、生食用牡蠣と加熱用牡蠣とを合わせると、5人のうち1人が過去にあたった事があるという結果が出た。
また、火を通したはずの牡蠣であっても、10人に1人の割合であたった人がいたという結果も出ている。
でも食べる量の違いや貝毒への耐性などの違いもあるので、やはり個人差がある。
だからアンケートの結果だけで、牡蠣にあたる可能性が高いか低いか判断をするのは難しいかもしれない。
牡蠣にあたる原因:食中毒について詳しく!
牡蠣にあたる原因には、先に述べたように食中毒が原因の場合と牡蠣アレルギーの場合とがある。
牡蠣の食中毒は、新鮮な牡蠣でも起こりうる可能性があるので注意。
生食用の牡蠣を食べて食中毒になる場合、ノロウイルスやビブリオ菌が悪さをした結果であることが多い。
- ノロウイルスの食中毒の特徴
○潜伏期間:12〜48時間
○症状:嘔吐、腹痛、激しい下痢 - 腸炎ビブリオの食中毒の特徴
○潜伏期間:12時間前後
○症状:嘔吐、強い腹痛、下痢
上記の場合は、菌やウイルスの付着が原因だから、牡蠣の鮮度に関係なく食中毒になる。
また細菌やウイルス以外でも、貝毒が食中毒の原因になることも。
※補足:貝毒とは牡蠣などの二枚貝が、海水中の有毒プランクトンを捕食するなどして体内に蓄えた毒のこと。大半が過熱しても毒性を失わないなどの厄介な特徴がある。
牡蠣の食中毒が多い時期
牡蠣の食中毒は、5月~8月に多いとされている。
もちろん、この時期以外でも牡蠣の食中毒に見舞われる可能性は存在する。
例えばノロウイルスが原因の食中毒の場合。
ノロウイルスは、11月~2月に流行する。
だから、この時期にはノロウイルスの食中毒になる可能性がある。
牡蠣にあたる原因(アレルギー)
牡蠣にあたる原因には、食中毒と共にアレルギーがある。
もしも牡蠣に何度もあたるという人がいたら、アレルギー検査を行ってみた方が良いかもしれない。
この牡蠣アレルギーの原因物質は、牡蠣に含まれるトロポミオンという成分が。
トロポミオンは、牡蠣以外にもカニのような甲殻類にも含まれるタンパク質。
牡蠣アレルギーの症状は、食中毒の症状(嘔吐、腹痛、下痢)と似ているけど、更にのどのかゆみ、蕁麻疹(じんましん)や発疹(ほっしん)なども出る。
アナフィラキシーに発展する可能性もある
アレルギー事態も怖いけど、アナフィラキシーショックは更に怖い。
牡蠣でアナフィラキシーショックを起こすと、血圧低下や呼吸困難、意識障害など命に危険を及ぼしかねない症状が出る。
ちなみにアナフィラキシーショックというのは、簡単に言えば複数の臓器でアレルギーの症状が出てしまう危険な状態のこと。
過熱した牡蠣であたることもある
過熱をすれば、食中毒菌などの大半は力を失う。
でも牡蠣アレルギーの場合は、過熱をしても症状が出る。
またアレルギーの場合は、牡蠣エキスを使ったソースなどに反応して症状が出る事もあるので注意をしたい。
終わりに
今回は、牡蠣にあたる原因についてお伝えした。
牡蠣にあたる原因には、食中毒とアレルギーとがある。
だから、何度も牡蠣にあたっているという方は、1度アレルギー検査を受けてみた方が良いかもしれない。
牡蠣が好物の場合、アレルギーがあると知るのは少し辛いけど、それでも健康には変えられない。
それに医師に相談すれば、仮にアレルギーが原因だったとしても何らかの対処法を教えてくれることもある。
だから牡蠣アレルギーを疑ったら、1度検査を受けて見る事をオススメする。